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【比較】ドラマと原作との違いとは?ドラマ半沢直樹2第3部『ロスジェネの逆襲』を会社法で解説してみた!

さてさて7年前(2013)に超ヒットした半沢直樹の3作目『ロスジェネの逆襲』が始まりましたね!

私は当時中2で、一家そろって第1話からリアタイしてるくらい好きな作品です。

主人公半沢直樹を演じる、堺雅人さんの出演作南極大陸』(2011)『塚原卜伝』(2011)を見ていたので前から楽しみにしていたのを覚えています!(リーガルハイは見てなかったです……)

今日から放送開始なわけですが、リアタイ視聴して原作との違いや感想を書いていこうと思います!原作は『銀翼のイカロス』まで既読ですが、ネタバレは控えめで比較していく予定です。

7年前は中学生のクソガキで、今は大学生のクソガキ(あれ?変わってない?)ですから、感じ方がどう変わったかも個人的には楽しみにしています!


あらすじ・ストーリー

東京中央銀行から東京セントラル証券に左遷された半沢直樹。大企業の営業第二部次長から、子会社の営業企画部長にかわり、事実上出世レースから退場させられてしまいます。

現実でもそうですが、出向先での出向者に対する風当たりは強いです。ご多分に漏れず、半沢もプロパー(新卒から働いている生え抜きの社員)から鼻つまみ者として扱われます。

肩身が狭い出向者
肩身が狭い出向者

出向先の東京セントラル証券で、半沢のもとにM&A(企業買収)の案件が舞い込んできます。IT企業・電脳雑技集団による同格のライバル企業・東京スパイラルの敵対的買収です。

半沢は慎重にことを進めようとしますが、部下の諸田(バブル世代)はイケイケドンドンで契約を急ぎます。諸田の部下である森山(ロスジェネ世代)は慎重さのために意見が対立し、買収アドバイザーチームから外されてしまいますが、半沢はこれを問題視します。

M&A買収
M&A買収

このバブルとロスジェネ間の対立が大きなテーマとなる『ロスジェネの逆襲』ですが、バブル世代が好景気の中引く手あまたでらくちん就活したのに対し、ロスジェネ世代はバブル崩壊後の不景気・就職氷河期に数十社に落ちるような苦労をしています。
www.youtube.com

つまりロスジェネ世代はバブル世代に激しい怒りを抱いているのです。表面的に露わにしていなくても、待遇に差を感じると不満が噴出しています。

グチ
怒りや不満

さて、買収アドバイザー契約の件はなかったことにしてくれと話は展開します。実は東京セントラル証券の親会社である東京中央銀行が、電脳雑技集団の買収アドバイザー契約を横取りしていたのでした。

買収開始!と思いきや、株式市場は変動なし。というのも時間外取引で、こっそりスパイラルの株式を30%獲得していました。半沢ワールドでもパールハーバーと例え、汚いやり方じゃないか!と批判されますがなんのその。

森山は旧友のスパイラル社長・瀬名に会いに行きます。が不信に駆られた瀬名に追い返されてしまいました。

そして半沢はさらなる異動の指示を受ける。三木と諸田は東京中央銀行に戻ることを条件に、電脳雑技集団によるスパイラル買収の話を漏出していたのでした。

半沢はこれを東京セントラル証券のプロパー社員とともに突き止めました。しかし、伊佐山はサーバーごと情報流出の証拠隠滅を済ませていて、逃げられてしまいました。

銀行に良いようにやられて黙ってる半沢直樹じゃない!「やられたらやり返す、倍返しだ!」

記事の内容とは関係ないんですが、この記事を書いた私が話している動画をどうぞ!
youtu.be


名シーン

やはり最後のお決まりの名台詞「やられたらやり返す、倍返しだ!」のシーンが一番のクライマックスでしょう!

やられたらやり返す、倍返しだ!
やられたらやり返す、倍返しだ!

くるぞ来るぞと分かっていても、鳥肌が立ち血が燃え上がります。負けず嫌いな人も、そうでない人も共感を覚える堺雅人さんの演技力は本物ですね!

原作と比べて気になったシーン

原作『ロスジェネの逆襲』は2010年から震災を挟んだ時期に連載していて、まさにリーマンショックの不景気下で執筆されていました。

不況
不況

当時のビジネスマンが抱えていたやるせない不満を解消するようなカタルシスが仕込まれてるといえます!ただ、当時から10年たって社会状況も違いますし、今後原作と変更するシーンも多数出てくるでしょう。

大和田取締役、再登場

小説版では退場した大和田取締役こと香川照之さん(54歳)(あれ?)が再登場しました。ドラマ版で人気あったため登場が予告されていました。

「施されたら、施し返す。恩返しだ!」

という名台詞を言い始めて半沢に対抗し始めました。

また、上司でありながら伊佐山に裏切られてしまいます。その関係で三笠の登場シーンが増加しました。

伊佐山、渡真利、三笠の登場シーンが増加!

半沢のライバル的存在である証券部の伊佐山、親友役の渡真利、副頭取三笠の出番が増加しています。伊佐山は最初の銀行の業務を、東京セントラル証券に押し付けにきて半沢を挑発しました。

ただ、半沢は東京セントラル証券のプロパーと銀行出向組の板挟みで、伊佐山は東京中央銀行の副頭取・三笠と大和田取締役の板挟みになっています。こういう構図は日本の縦社会ならではのものじゃないでしょうか。

渡真利役の及川光博さん(50歳)はあいかわらずの飄々としていて、半沢に発破をかけます。にしても酔っぱらってた苅田を演じた丸一太さんはすばらしかったです!

副頭取・三笠は大和田取締役の派閥を取り込み、勢力拡大を図ります。古田新太さんといえば個人的には「13歳のハローワーク」の警察役を想起します。威厳ある雰囲気出しがすごいです。

森山と瀬名の中学校

最後の撮影協力で桐光学園と判明しました。原作では私立の有効一貫校となっていたのでそれに合わせて選んだのでしょう。ちなみに作者の池井戸潤さんは加茂高校という岐阜県地元の高校出身なので、友人に桐光学園出身者がいたのかもしれませんね。


会社法の視点からみる『半沢直樹

はい!この記事を作成している私は、この春学期にちょうど企業買収にかかわる会社法(必修科目・大塚英明教授)を履修しています。

これを活かさない手はないということで、初心者に毛の生えたくらいの私でも説明できそうな事項に関しては、積極的に紹介してみようと思います!

追記・会社法の成績が上位3割のA(80~89点)でした!この記事を書いたことも勉強になったのかも。

会社法成績
会社法成績

会社法のみちしるべ』という指定教科書(といっても1ページ30文字26行と少なく、240ページ足らずの入門書)を参考にしています。法律書の中でも抜群に読みやすく、先生も60歳越えながら若々しい感性の気さくな先生です。(持ち上げすぎでしょうか笑)

追記・個人の株式売買も始めました。ジュニアNISA枠内ですが興味のある方は読んでみてください!
ajin-kousatu.hatenablog.com




親会社と子会社の関係

親会社の株を子会社から配当金を出すという、「トラッキング・ストック株」という仕組みがあります。なぜそんなことをするかというと、親会社の業績が悪い一方で子会社の業績が好調だからです。

親会社と子会社
親会社と子会社

ラッキング・ストック株はよく売れます。それは成長している子会社の業績を基準に、配当が行われるからです。有名な例としては、当時ソニーの子会社だったSCN(So-netというサービスで今ではそんな伸びていませんが)があります。

2000年に発表されました。当時PS2がヒットする前(我らがFF10は2001年です)で、アップルにインターネットでお株を奪われかけていて不調だったようです。
*1

株式平等原則に反しているのではないかと指摘がありますが、判例趣旨では定款を変更して種類株式にする合理的理由があればよい、と認められています。

とまあ、会社法ではそんなに親会社、子会社間の競業は問題になっていません。取締役には競業避止義務がありますが、これは自社のデータを不正に他社に持ち出して会社に不利益を与える行為で別物です。*2

東京セントラル証券の半沢は、親会社の東京中央銀行に買収アドバイザーを奪われてしまいましたが、残念ながらこれは適法の範囲内ということです。つまりリーガル!

買収アドバイザー
買収アドバイザー

罪には問えませんが、正当な手段で不正にやり返すのがまさに「半沢直樹」の魅力ではないでしょうか!これ以上ない舞台が『ロスジェネの逆襲』で繰り広げられるということです。

めっちゃ燃える!(ストーリー知ってるけど忘れたことにします)

企業買収(M&A)について

会社法では企業買収(合併)は経営のレベルではなく、株主の所有にかかわる重要事項であるので、株主総会の多数決で決めることが要求されています。

多数決
多数決

*33分の2の株主の賛成で可決される*4わけですが、現実には否決されることはないのであってないようなものと言えます。

*5さて、それでは本題の敵対的企業買収の話です。買収側をビッダー、買収される側をターゲットと言います。

『ロスジェネの逆襲』ではビッダーが電脳雑技集団で、ターゲットは東京スパイラルという構図になります。ビッダーはターゲットの株式を51%(正確には50%+1株)所有することを目指し、公開買い付け*6を行います。

フジテレビがニッポン放送の株式取得のためにした、公開買い付けが有名ですね。その最中にホリエモン率いるライブドアが、株式市場で大量株式を取得したわけですが、その話は下のサイトに詳しく書いてあります。
ライブドア 対 フジテレビ

公開買い付けの規定によると、”取引所金融商品市場外で株券等の買い付け等を行うこと”です。株主は、市場価格よりも高めに買い取ってくれるビッダーに株式を売却するという寸法になります。

ホワイトナイト
ホワイトナイト

この敵対的買収に対抗して、ターゲットは「絶対に売却しない第三者ホワイトナイト」に株を発行(第三者割当)しようとします。市場に出ている株が買収されても、新株が発行されていれば買収されずに済むのです。長くなるので新株予約権の話は割愛します。

しかしここには強い規制が働きます。新株発行という対策が会社の利益を守るためではなく、ただの「悪あがき」と判断されると、新株発行に対して裁判所の差止請求がでるのです。

裁判所の差止請求
裁判所の差止請求

忠実義務違反*7と言いますが、これは公平性を著しく書いているというものです。経営が良くないから買収されそうなとき、取締役はその地位を辞めさせられないように、保身を図って抵抗しているのだとみなされます。

他にもグリーンメールLBO(借入金を利用した資金調達による企業買収の方法)などありますが、そろそろ終わりにさせていただきます。

長文かつ専門的内容にお付き合いいただき、ありがとうございました!

ajin-kousatu.hatenablog.com

*1:https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press_Archive/200011/00-056a/

*2:会社法のみちしるべUnit19・184ページ参照

*3:会社法のみちしるべUnit21・202ページ以降参照

*4:会社法309条1項

*5:会社法のみちしるべUnit22・216ページ以降参照

*6:TOB=乗っ取り・金融商品取引法27条の2の6

*7:会社法355条

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